細尾 真孝

株式会社HOSOO 代表取締役社長

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元禄元年(1688年)創業の西陣織の老舗・細尾家に生まれる。 大学卒業後、音楽活動や大手ジュエリーメーカーでの経験を経て、2008年に家業である細尾に入社。

千年以上の歴史を持つ西陣織の技術を基盤としながら、革新的な素材開発とデザインによって伝統を再定義。西陣織を着物用途にとどめず、インテリアやアートの領域へと拡張し、世界的ラグジュアリーブランドや五つ星ホテルとの協働を通じて新たな価値を創出している。

工芸を「過去の継承」ではなく、「未来を構想する技術」と捉え、現代アーティスト、シアスター・ゲイツとの協働をはじめ、東京大学大学院との共同研究、古代自然染色の研究・再解釈、万博パビリオン建築など、領域を横断した活動を展開。

2012年、京都の伝統工芸の後継者とともにクリエイティブユニット「GO ON」を結成。 2016年、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ ディレクターズフェローに就任し、西陣織と最先端テクノロジーの融合による革新的ファブリックの開発に取り組む。

日経ビジネス「2014年日本の主役100人」、WWD「ネクストリーダー2019」、Forbes JAPAN 100(2021)に選出。2019年にはハーバード・ビジネス・パブリッシングにてケーススタディ『Innovating Tradition at Hosoo』として掲載。2024年、Forbes JAPAN 日本の起業家ランキング特別賞受賞。同年、BoF 500(The Business of Fashion)に選出。

伝統とテクノロジーを横断し、工芸の未来を構想している。

GO ON

伝統工芸から、
多分野の結節点を拡げていく

京都を拠点に、伝統工芸を受け継ぐ6名の活動、「GO ON」。
伝統工芸を軸とし、アート、デザイン、サイエンス、テクノロジーなど、
幅広いジャンルとの接点をつくり、橋渡しとなるプロジェクトも展開しながら、
伝統工芸のさらなる可能性を探っていきます。
未来をつくる活動を通して、これからの時代の豊かさを考え続けます。

Thought and Action

考え方、活動としての「GO ON」

「GO ON」とはなにか。
彼らの姿勢は一貫しており、ぶれることもない。けれど、その活動内容をひとことで表現するのは容易ではない。幅広い分野に関心を抱き、動きながら、重要な問いをさまざまに投げかけているからだ。こうして文章を記している間にも、彼らは自分たちがすべきことをさらに話しあい、さらに前へと進んでいることだろう。

京都を拠点とする伝統工芸の担い手によって、GO ONが始動したのは2012年。
6社の後継者となる6名がメンバーだ。それぞれが自身の制作活動に専念すると同時に、プロジェクト・ユニットである「GO ON」として結集、自由で柔軟な視点で互いに刺激を与えあう環境を大切に、すでに積極的な動きを展開してきた。

アーティザンスピリッツを軸に、それぞれの手や身体を動かしながらなされる有機的な彼らの活動は、さまざまな既存の枠から飛びだすかのようなエネルギーに満ちている。工芸の歴史や技術、精神をしかと受け継ぎ、工芸の世界に真摯に向きあいながらも、工芸の世界に留まらない影響を及ぼしているのだ。

アート、デザイン、サイエンス、テクノロジーなど、他ジャンルと工芸との間に橋をかける活動や、その結果としての表現にも果敢に取り組み、他ジャンルからの共感も呼んでいる。継承されてきた工芸の素材、技、製造工程の特色を最先端のテクノロジーと結ぶことで、かつてない創造の可能性そのものを示唆する動きももたらしている。

ここで大切な点は、GO ONの動きは、工芸の枠をただ拡げようとする行為とは一線を画すものとなっていることだ。彼らは、ときに工芸の枠を大胆に超えながら、ものづくりの、あるいは現代における思考の可能性そのものを探っている。疑問に思うことがあれば、臆することなく切り込みながら。

さらに興味深いのは、探究を通した彼ら自身の考察が、再び、工芸のただなかに打ち込まれているという点だ。6名はこうも語る。「工芸の枠の外側にもあえて立ち、我々が工芸の流れの中心と思ったところに、思いっきり楔(くさび)を打ち込んでみる試みもしたい。問いを、止めたくない」

GO ONとは、未来を探り、可能性を思考し、実現していく動きそのもの。
ヴィジョンと行動という、創造を支える土壌そのものの重要性に始まり、ものづくりの価値や創造のプロセス、さらには生活の豊かさの意味を探り続ける、若き挑戦者たちの活動なのである。

文:川上典李子、デザインジャーナリスト

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